消防設備点検
2023年6月20日
消防設備点検は、実施して報告書を提出していますか?
消防設備点検(消防法第17条:法定点検)は、人命を左右するほどの重要な点検作業となります。
しかしながら、意識的にしていなければ、その重要な点検作業を忘れがちになります。
消防設備点検・報告等は誰がいつ行わなければならないのでしょうか。
答えとしては、建物の“所有者”“使用者”“占有者”となります。
この場合、建物の区画を複数に分けて賃貸借契約を実施している場合は、基本的に“所有者”が行うべき義務となりますが、建物を単体で“使用者”“占有者”(借主)へ賃貸している場合は、“使用者”“占有者”(借主)が行うべき義務となります。
理由は、建物賃貸借契約に共益費設定が無く、借主の自主管理となっているケースがほとんどなのです。
消防法上、機器点検を6ヶ月毎に一度、総合点検を1年に一度行い、3年毎に一度、管轄消防署への点検報告書を提出する義務があります。*建物の使用用途等によっては、年1回の提出が必要となる場合があります。
もし、点検から報告までを怠る事と、罰則が設けられていますので、注意が必要です。
⇒消防法第44条に則り、消防署による立入検査等による指導が行われます。
それでも報告等が無い場合は、30万円以下の罰金又は拘留の罰則が課される事となります。
罰則を気にする必要もありますが、何よりは“有事”(火災等)が発生した場合、迅速に消火活動が行えるのかどうか、人命を守る事ができるのかどうか…と言う事を一番念頭に置いて頂ければ、建物を利用する上で必要不可欠である事をご理解頂けると思います。
どのような建物であれば、消防設備点検を行わなければならないのでしょうか?
大枠で申し上げると、消火器1本以上設置されていれば、消防設備点検報告が必要となります。
※消防設備として、消火器1本も設置義務が無い場合もあります。その場合は、点検報告義務自体が無くなります。
仕事場として利用している建物の場合、消火器0本OKは、逆にレアケースとなりますので、注意が必要です。
消防設備点検報告を行わないといけない事はご理解頂けたと思います。
誰が消防設備点検報告を行う事ができるのでしょうか?
建物利用者(借主)の消費者が勝手に点検報告を行なえる業務ではありません。
※管轄消防本部・消防署は予防指導を行なってはくれますが、点検報告自体を請け負ってくれません。
点検報告書を提出する先である為でもあります。
よって、消防設備点検報告を行なえるのは、消防設備業者等の有資格者が在籍する団体・企業が点検報告書作成から提出を行います。
点検業者は、建物利用者(借主)などの依頼に基づき、建物内での消防設備点検を実施し、報告書作成を行い、管轄消防署への報告を実施します。
報告書の作成は、定められた様式によって行われます。
尚、報告書の提出は、点検を実施した建物が存在する地域の管轄消防署となります。
*管轄消防署へ報告書を提出すると、受領印付の報告書が戻ってくることとなります。
消防設備点検自体はどのように行うのでしょうか?
消防設備点検自体は、設置されている消防設備自体によって作業が様々となります。
消火器の場合
例えば、“消火器”だと、表示・品番等を確認し、内圧等の変化、入れ物の錆・劣化・異常が無いかを点検します。
異常無しとなれば、点検業者のシールが貼られる事となります。
*消防署の抜き打ち検査が発生した場合、点検シールがあれば、消防署から多くの指導を受ける事はありません。
誘導灯の場合
“誘導灯”であれば、点灯・割れ・バッテリー不足等の確認と点検を行います。
*有事が起こった際、避難経路を確保する為の誘導灯ですので、不点灯・バッテリー不足等は、人命問題に関わる事となります。
自動火災報知機の場合
“自動火災報知機”であれば、特殊機器を用いて、感知器の精度を確かめます。
それぞれの機器は、古いものでも精度の良いものが多いですが、どうしても無反応・断線・動作不良となるケースもあります。一番は有事が発生した時に、機器が反応しなければ、人命に関わる事となります。
それらを未然に防止する為に、消防設備点検報告を実施しなければなりません。
それ以外にも消防設備機器は多数、複数存在します。
それらを点検・報告書作成出来るのが消防設備士となります。
点検業者をご利用頂く事となりますので、費用が発生しますが、設備点検を行う内容によって変動します。
★当社実例) 点検1回:12,000円税別 ~ 120,000円税別など
*点検項目内容や点検個数等によって、金額が異なります。
実施月や点検報告書の提出時期等は当方にて把握致しますので、お客様の煩わしさ改善となります。
~裏話~
万が一、有事が発生した場合の為に火災保険や借家人賠償保険などに加入されているかと思いますが、
消防設備点検報告等を怠っている場合、過失があると判断され、保険の支払い割合が変動する可能性もあると言われます。
“万が一”の有事が起こらない、起こさない事が最優先ではありますが、
どれだけ気を付けていても事故は発生します。
まずは人命の為にも、罰則規定違反にならない為にも、しっかりと消防設備点検を行う事を推奨します。
建物の利用方法が変わった、模様替えした…場合って、消防設備に変更・追加が必要になる?
消防設備の変更が必要になる可能性はあります。
例えば、間仕切壁を作って、小部屋、会議室を作ったとします。
その場合、小部屋・会議室の中に、“自動火災報知機”を設置しなくてはならなくなるケースがあります。
しかも、その場合、厳密には、管轄消防本部へ消防設備に対する“設計届”“設置届”が必要となる場合があります。
*ちなみに、壁クロスの貼替…等であれば、消防設備の変更・追加は不要だと思われます。
消防設備に変更・追加が必要となるかどうかは、管轄消防本部との事前協議によって決まる事となります。
消防設備に不備箇所が発生した場合はどうするの?
消防設備に不備箇所が発生した場合は、文字通り“改善”させる必要があります。
一番多い不備箇所内容としては、消火器の年数やバッテリー不足等が指摘されると思います。
これは、年数を経過する事で致し方なく発生するものです。
例えば、消防法上、消火器は5年経過後、機能点検の対象となり、10年経過すると耐圧試験を受ける必要が出てきます。
この耐圧試験等は、新品の消火器を購入するよりも費用が掛かる為、一般的には“買い替える”と言う事になります。
*消火器の廃棄…通常のゴミ・産業廃棄物としては廃棄出来ません。
特定窓口へ連絡し、引き取ってもらうか、直接持ち込む等の方法があります。
(リサイクルする事となりますが、廃棄には費用が掛かります。)
次に、バッテリー不足等の場合は、誘導灯や火災受信盤内のバッテリー交換を必要とします。
このバッテリーですが、どのような意味でのバッテリーかわかりますか?
“有事発生時”の“停電発生時”に機能は発する為のバッテリーとなります。
例えば、誘導灯は、避難経路を指し示してくれる重要な設備ですが、有事+停電となった場合、
点灯してくれない状態であれば、100%の機能を発揮しなくなります。
しかし、バッテリーですので、いつまでも充電し続けてくれるわけでは無く、劣化してしまうものです。
一般的には、4~8年ぐらいでバッテリーは寿命が来る事が多いですが、その寿命を判断するのも消防設備点検時に発見できるかどうかとなります。
消火器もバッテリーも自家発電機なども、有事が発生せず、使うことなく、廃棄+取替を行うのは非常に勿体ないとは思いますが、それが“万が一”の事態に対する消火器とバッテリーの使命だと認識してあげて下さい。